株式会社テックアナリシス
TEKANALYSIS CO.,LTD

SOLUTIONS

加熱環境下での結晶転移解析

環境因子が薬の運命を決める ― ラマンで“その瞬間”を可視化

医薬品の有効成分は,加熱や調湿などの環境因子によって結晶形が大きく変化し,溶解性や安定性,さらには薬効にまで影響を及ぼします.ラマン分光法は,非破壊・非接触でリアルタイムに結晶転移を追跡できる唯一の手法のひとつです.

例えば,カルバマゼピン(CBZ)の結晶転移は,加熱条件下でIII形からI形へと変化し,その過程をラマンで分単位で観察することが可能です.また,カフェインの水和物は湿度条件によって無水物へ転移し,その速度や量は包装材の透湿度によって大きく左右されます.

これらの知見は,プレフォーミュレーションから保存条件設計,包装材の評価に至るまで幅広い応用につながります.「環境が結晶をどう変えるか」を的確に把握することは,製剤開発や品質保証において欠かせません.

ラマン分光法を用いた加熱・調湿解析では,結晶多形の安定領域を定量的に特定できるため,処方検討や製造スケールアップ時の**臨界条件(温度・湿度)**を設定するうえで有用です.
また,非接触プローブを用いることで,密閉容器内での水分吸着挙動や脱水反応の追跡も可能となり,実際の製剤環境を模擬した測定が行えます.

さらに,得られたスペクトルを主成分分析(PCA)やマハラノビス距離解析と組み合わせることで,転移開始点の統計的判定や再現性の評価も実現します.
このようなアプローチは,原薬・製剤の品質安定性試験,包装材選定,さらにはPAT(プロセス分析技術)の一環としても応用可能です.

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